近世 アイヌ伝説
今から約400年前。本州では江戸時代の頃。当時の北海道は蝦夷地と呼ばれていて、 渡島半島の一部を除く、ほとんどの地域にはアイヌが暮らしており、彼ら独自の文化が栄えていました。
礼文島にもアイヌが暮らしていたことが文献や絵図からわかっており、 その頃の暮らしは、海での漁を中心に、和人と交易を行っていたことなどが、遺跡の調査や当時の記録からわかっています。
また、アイヌの同士の争いや、神社の成り立ちなど、この島で暮らしたアイヌにまつわる様々な伝説も残されています。
ちなみに、こうしたアイヌ伝説を現代風にアレンジした民話集『へば おめさも きがへるが(「それなら、あなたに聞かせましょうか」という意味の礼文島の方言)』が、礼文町の地域住民によって刊行されています。 その内、『桃岩物語』『見内神社のお話し』『久種湖物語』の3話については、漫画化しておりますので、話と合わせてぜひご覧ください。 なお、漫画化にあたっては、物語の本質や流れを損なわないことを前提に、場面をつなぐ際の新たな台詞やイメージを追加しています。
桃岩物語
海に利尻富士がうつるほどおだやかな秋の日、礼文島のシャクニン・コタン(村)では、 大人たちがいそがしそうに海へ出て漁をし、子供たちはいつものように山でブドウやコクワをとって遊んでいました。
元気のよいジャムニ・ポリル・ピレアの兄弟は、教も両手に抱えきれないほどの山ぶどうをもって、 丘で畑仕事をしているソニア姉さんのところまでかえってきました。
先についた弟のポリルが、ふと沖を見ると今までに見たこともないたくさんの船が、 利尻の方からこちらへ向かってきます。
「ねぇ、ねぇ、あの船はなぁに?」
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見内神社物語
むかーし、むかし 礼文島の香深井にアイヌの人たちが暮らしていたころのお話です。
そこには、木々がおいしげり、川には魚があふれ、海ではカモメが鳴き、 春になるとニシンが群れをなしてやってくる村でした。
ある日、海の向こうの天塩の国から、一人の女がイカダで流れ着きました。
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久種湖物語
むかしむかし、ブウネトマリ(船泊)の大沢の部落に、元気な男のふた子が生まれ、 ヌプリとイコッポと名づけられました。
やんちゃなヌプリとやさしいイコッポは、とても仲良くすくすくと育っておりましたが、 あまりによく似ているため、親でさえときどき間違えるほどでした。
二人が三歳になったとき、子宝に恵まれなかった部落の長、オテナのところにも、 女の子が生まれエリアと名づけられました。
ところが、エリアが生まれたころから、ヌプリの背中にあった小さなホクロがだんだん大きくなり、 両親はたいそう心配し占い師に見てもらうことにしました。
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参考文献
- 著作名
- 『礼文むかし むかし へば おめさも きがへるが』
- 著者・発行者
- ?(はてな)国
- 発行年月日
- 1991年7月1日
漫画制作
- 制作・発行
- とんぼスタジオ 高橋達央 ©Tatsuo Takahasi 2016
- 監修
- 礼文町教育委員会
- 備考
- 本著作物の無断複製・改変・配布など著作権法に反する全ての行為を厳禁します。